カーシェアで燃料電池車のトヨタ ミライをレンタルしてみた

2020年9月30日

学生の頃はよく利用していたカーシェアリング。車を購入してから解約してしまいましたが、やはりいろいろな車を短時間で乗れるのは魅力ですし、月額費がかからないプランあるということで再度加入することにしました。

オリックスカーシェアHonda Every Goの二つです。

前者はオリックスの提供するカーシェアサービスで、月額費が有料と無料の二つの料金プランがあります。月額費が有料プランの方が借りたときに発生する金額は低く、月額費も利用料に補填できるため毎月利用するなら有料プランの方が良いです。自分はとりあえず約2500円分のクーポンがもらえるということで、月額費は有料会員で登録しました。

後者のHonda Every Goはホンダが提供するカーシェアサービスで月額費は無料です。honda eが配備されるということで登録しました。

そして今回はキャンペーンで安くなっていたので、オリックスカーシェアでトヨタのミライを借りてみました。がっつり6h借りてきたので、備忘録も兼ねてそのレビューをブログでしておきます。

トヨタ ミライとはどんな車?

ミライは水素を燃料として走る燃料電池車です。燃料電池は水素と酸素を反応させて電気を発生させる電池です。さらにミライは大型バッテリーを備えており、回生ブレーキによって運動エネルギーを回収し走行に使うこともできます。また燃料電池で発生した余分な電気を貯めたり、加速時に不足する電力を補ったりする役割も持っているようです。

ミライは形状としては一般的なミドルサイズのセダンです。 ボディサイズは全長4890×全幅1815×全高1535mm、ホイールベース2780mm、車両重量1850kg。 日本では扱いやすいサイズに収まっています。

モータースペックは最高出力154ps、最大トルク34.2kgm となっており、例によってEVらしくトルクはかなりあります。

デザイン

大まかな外見はプリウスに似ています。PHEVにより近いデザインです。フロントは今となっては斬新さはあまりないように思います。

ヘッドライトは4連式のLEDでポジショニングライトがバンパーの両端に縦に並んでいます。

リアのデザインはかなり今見てもかなり独特かと。直角にボディのギリギリまでデザインされたテールライトはかなりボリューミーな印象です。

走行性能

モーターのトルクはさすがといった所。停止状態からの発進はかなり速いです。とても1850kgの車重とは思えません。さらに80km/hくらいまでの加速もかなりパワフルです。前回ディーラーで試乗した現行アコードよりもさらにパワフル感があります。

一方、100km/h以上を超えてくるところの加速はかなり鈍ります。154psしかない出力がここで効いてきます。120km/h巡行は少し無理している感が出てくるので、あまりしたくない印象を受けました。巡航速度は100km/h程度までが丁度いいです。

ハンドリングはかなりコンフォート寄り。最新の車のような応答性も過敏ではなく、スポーティとは程遠い印象です。なかなか鋭い加速力とはアンマッチしたキャラクターです。

ハンドリングのキャラ設定にも表れていますが、ブレーキ、コーナリング性能はあまりよくないです。着座位置がセダン並みに低く、加速が良いのでスポーティに感じるだけで、車重は1850kgもあるので基本的な走行性能が高くないのは当然といえば当然なのですが・・・車重を忘れて普通のセダンの時と同じ感覚で高速コーナーに突っ込んでヒヤッとする場面もありましたし、減速Gが意外と出ないためにブレーキを最後に踏み足す場面も何度かありました。

取り回し

標準的だと思います。かなりデザインがボリューミーなので幅を感じてしまいますが1815mmと意外と車幅は狭く、扱いやすいです。

自宅近くの入り組んだ道でも普通に扱えました。

乗り心地&居住性

乗り心地は基本的に快適です。突き上げ感もかなり抑えられています。タイヤサイズは215/55R17とかなりの高扁平タイヤなので、それもあると思います。一方、アコードの時のようなタイヤがしっかり動いて路面をいなしている感覚はなかったです。車重とタイヤの恩恵が大きい印象でした。そのあたりは設計の古さもあるのかもしれません。

シート形状は快適性とホールド性を、そこそこに備えた良い形状です。しかし長い時間乗っていると少し腰が痛くなってしまいました。この車は10000kmしか走ってないので、シートはへったていないハズなので形状の問題なのかと思います。

インテリアデザインは個人的には嫌いではないですが、先進性はもっと欲しいかもしれません。ちょっとこの価格の車にしては地味な印象を受けました。お金がかかってるのはインテリアではなくシステムなので、本来持つべき感想ではないのは理解していますが、価格を考えるとついつい内装も、それに見合ったものが欲しくなってしまいます。

そしてエアコンは少し扱いづらいです。操作系が低い場所にあるからかもしれません。長時間乗るとよくわかりました。

室内空間はかなり広い印象があります。リアリ-トは4人掛けですが、ホールド性もありよい印象でした。ホイールベースも長めなだけあって、膝周りも十分なスペースがありました。

ちなみにこのリアシート下には80MPaオーバーまで許容する水素タンクが搭載されており、シートの後ろ側はバッテリーは搭載されているようです。

そのため、このサイズのセダンにしてはラゲッジは小さめです。

では燃料電池はボンネットの中?ボンネットを開けると確かにFCスタックらしきものが・・・と思いきやこれはパワーコントロールユニットのようです。

FCスタックはフロントシート下に搭載されています。

その他、燃料電池車特有の話

インパネに面白いボタンがついていました。H2Oボタンです。

取り扱い説明書を確認したところ、これを押すと水が強制的に排出されるようです。

押すとこのように水が一気に排出され、水煙が舞います。

燃料電池車は大量の水を排出するために立体駐車場や車庫など水を排出したくない場所に入る前に使うのだそうです。

今回は給油ならぬ給水素もしてきました。浦和の水素ステーションに行ってきましたが、幹線道路沿いにあるわけではないので、かなり場所はわかりにくかったです。 当然、セルフではなく有人での対応でした。

浦和水素ステーション

東京ガスの施設で隣に天然ガスタンクがあります。ここで水蒸気改質を行って、天然ガスから水素を作り地下の樹脂タンクに貯蔵しているのだそうです。ガソリンに例えると製油所が備え付けているようなものですね。

マスフローメーターがついており、補給した水素は質量単位で料金が発生します。今回はカーシェアなので料金は払っていませんが。

ちなみに一日に5~6台来るとのこと。意外と需要あるんですね・・・。

総評

燃料電池車という特殊な車に乗ってみましたが、思った以上に普通の車として乗れることに驚きました。EVよりも航続距離が長いのも普通の車として使える一つの理由だと思います。充電が必要なく、内燃機関の車がガソリンを補充するのと同様に水素を補充すればよいというのもいいです。

一方、やはり買い手を選ぶ車であることもよくわかりました。

理由としては航続距離が短いのに水素ステーションが少なく、営業時間も短いため。航続距離はEVよりは長いですが、エアコンをつけた状態で満タンで400km程度。一応、タンクは87.5MPaまで耐えれるので、もっと高圧で供給できる施設に行けば伸びますが。いずれにせよ遠出にはちょっと心もとないです。また肝心の水素ステーションも都市部にしかなく、しかも定休日が平日に設けられ、営業時間も17時くらいまでです。ちょっと普段使いするには厳しい条件かと思います。

都市部での仕様限定のセカンドカーならばよいかもしれませんが、そういうのこそEVで十分ですし。まだまだ普及には程遠いだろうな、というのが試乗して得た印象です。

試乗,

Posted by Eisuke